隣のヤツは……

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放課後、部活が終わって荷物を確認すると筆箱を教室に忘れていることに気が付き、仕方なく足を向ける。 流石に遅くまで学校にいるとなるとアイツも諦めて家に帰っている。 よく自分に突っ掛かってくる女子はもちろん、接点のないような人まで教室に来てはアイツを誘っている。 何度かは断るらしいのだが、押し負けて一緒に帰ったり、そのまま買い物に付き合ったりしているらしい。 興味はないけど。世の高校生、学生はコレをリア充というそうだが、あまり羨ましいとは思わない。 交友関係が狭くて、自分的にはもう少し広くしたいと思うばかりで、それどころではないというのが本音だからだ。 そんなことを考えている内に教室に着く。いつもなら誰もいなくて暗いはずなのだが……、アイツが教室にいて空いた窓の外を見ている。 「どうして此処にいんだ?」 ……聞いてはいけないことを聞いたような気がする。この時間、ここにいるってことは見事にフラれた可能性があるのだから。 「おう? お前こそ何で此処にいんだよ?」 アイツはこちらへと向きを変え、質問で返してくる。 「筆箱、忘れちまったんだよ」 答えてから質問を返せバカと内心イラついたが、蒸し返してやるのも可哀想か、と思い答えてやる。
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