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「アレってさ、ゲームで言うところの第二形態ってヤツじゃない?」
ユウキは少し焦った様子で、マキに話しかける。
「ゲームなんてやらないから知らない。
放っておくと不味いのは分かったよ。アレが終わるまでに叩くぞ」
「了解」と小気味いい返事をユウキは返し、先に走りだしていたマキに続いていく。
「魔王様の邪魔はさせません……」
使用人だった男が、マキとユウキの前に立ちふさがる。
「自殺希望者か?
まあいい貴様にもお礼をしてやろうと思ってたんだ……、遠慮なく受け取れ、返品は許さない!」
マキは躊躇う事なく剣を振り切って使用人を排除する。
マキが剣の腹で脇腹を打っ叩いたため、使用人は人形のように床にバウンドして吹き飛ぶだけで済む。
「お勤めご苦労様でーす」
気のない声でユウキは言って、使用人の顔を踏み潰し完全にダウンさせる。
マキを誘拐した実行犯を叶うならばボコしてやると決めていたユウキは、心で密かにガッツポーズを決め、小さな達成感を得る。
二人は走っていたが、黒い煙は内側(なか)で紫色の雷を発生させて縮まっていく。
「間に合わなかったか……まあいい。
コッチの方が存分に殺り合えそうだ」
マキは舌打ちをしたが、口元は半月を描いて歪んでいる。
眼前に人型から漆黒の龍へと姿を変えた魔王を見て、怖じ気づくどころか興奮しているのだった。
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