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『クハハハ、ニンゲンが我に適うハズがなかろう!
大人しくしていれば死体くらいは残る楽な死で済んだものを』
魔王は龍のままの姿で、今度こそ勝利を確信し、敗者を嘲笑う。
「俺もいるってことわすれてないか?」
暗黒のブレスが焼き続けた場所の煙が晴れ、円状に地面が抉れその中心にユウキが、タリアの盾を展開しマキを守っていた。
「さて、どうしたものかな? マキはもうダメそうだし……」
ユウキは軽い口調で言っているが、内心は何も考えられないほど焦っている。
「……方法は1つだけある」
マキは控えめにユウキに提案する。魔王に聞こえないよう小声で簡潔に説明し、何かを頼んだようだった。
『シブトイ、勇者とは人類であり超越種とでもいうのか……?
だが、次はない。我が全身全霊の力をもって葬り去ってくれる……』
魔王は再び巨体に戻し、先ほどと同じく黒いモヤを収束していく。
先ほどとはサイズが数倍違うためか、圧縮密度と質量が格段に違い大気ばかりか、城全体を震わしていく。
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