418人が本棚に入れています
本棚に追加
幼なじみで誰よりも愛し、誰よりも信じていたアイツは、異世界に勇者として召喚されました。
地球上とは時間の流れが違うらしく、あちらで百年経った頃、こちらでいう一年くらい過ぎたくらいに、二度目の召喚が行われました。
一回目の召喚以降、俺は巻き込まれることはありませんでした。しかし、アイツと一緒に異世界に行くことは出来ませんでした。
しばらくしてアイツは帰ってきましたが、顔色は優れず、あまり浮かない表情をしていました。
何があったのかを聞いてみると、少し整理する時間が欲しいとのことでした。
それから1ヶ月、今日話してくれるというので、俺は何を聞いてもアイツのことを信じてあげようと、決意していました。
けれど、その日アイツはいなくなりました。
また、異世界に召喚されたのだと直感しました。
今度はアイツが帰ってくることはなく、世界からいなくなってしまいました。
まるで最初からいなかったかのように、存在自体がなかったかのように……。
アイツの席はクラスからなくなり、アイツのことを覚えている奴はいなくなり、アイツの両親も我が子の存在を忘れ、住民票からも消されてしまったのです。
最初のコメントを投稿しよう!