隣のヤツは……

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「さっさと帰んぞ、お前んちの母さん、もう夕飯作り終わってんだろ?」 まあ、今日くらいは帰ってやってもいいだろう。コイツが本命にフラれたのなら、傷ついているだろう。話してくれるなら、できる範囲で励ましてやろう。 「お、おう。珍しいな……い………や………せに」 返事の後に何かモゴモゴと口を動かしているが気にしないでおこう。筆箱をカバンに積めて教室を後にする。 ─────────────── 帰路も半分の所まで歩いてきた。いつも、……最近は部活を始めたので帰るのは、テスト期間くらいなものだが、帰っていたときは、何かとコイツから何か話題を出していたのに、口を開けようともしない。 結果は惨敗か? コイツをフったヤツもヤツで大した度胸だと思う。一緒にいるだけでこんな扱いだ、気の毒に思うよ。 「ところで今日の放課後どうだったんだ?」 考えても分からないのと、自転車押して、タイヤの回る音だけが虚しく響く空間に耐え切れず、顔は前に向けたまま合わせずに聞いてみる。
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