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王は大層驚き、娘の生命を嘆願しました。
跪(ひざまず)き必死になっている国王の姿は、あまりに滑稽に映りました。
何せコチラは『狂言』に近いことをやっていて、娘を殺す気など全くないのですから。
王が王家の伝承を語りだすまで、笑わないように舌を噛み堪えていました。
ただ、聞けば聞くほどにそれは聞くに堪えないお話でした。
私利私欲に満ち、野望のために、己らの都合のために召喚した勇者を兵器を扱おうとして反発されたので、殺した、という馬鹿げた話なのでした。
しかし、殺したはいいが不思議な力で朽ちることなく、在り続けるアイツの肉体をどうすることもできないので、城の地下に隠して置いた、とのことでした。
俺はアイツの無念を思い涙した。アイツはホント、くだらないことで世界から居場所を奪われ、存在自体がなかったことにされている。
手元に抱き寄せていた王の末娘を解放し、国王の緊張が抜け立ち上がろうとしたところを
ナイフで心臓を一突きにして殺した。
前回の勇者召喚で鍛えたことがこんな形で発揮されるなんて、と自嘲しました。
王女は肉親の死に怯んだが、このまま行けば人形や玩具のような人生を確約されていたので、気にしないと強がっていました。
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