優者が悪魔に変わる刻

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公国は勇者の親友を大将に立て、帝国へと侵攻するが、 皇帝を始めとする【七武将】の圧倒的武力の前に大半の領土と兵を失い、今、 「教えてくれないか? 何で俺に暗殺の濡れ衣を着せたんだ?」 親友の勇者は逃がされ続け、公国の城まで撤退していた。 「理由か? 一番いい所にいたからだ、他の奴でも使ったさ」 「外道め……、お前を親友だと信じていたのに……」 「馬鹿だな、俺はこの世界に来たときから何も信じちゃいない。 今も誰かに殺される可能性におびえ此処にいる……、自分は死なないとでも思ったか?」 「……哀れなヤツだ、何も信じることができないなんて……」 「同情か? 負け惜しみか? 遺言ならもう少し考える時間をやるぞ?」 「ッ……悪魔め、滅んで消えろ!」 勇者は飛び掛かり剣を振り下ろす、皇帝は剣を滑らせて勇者の身体を右に逸らすと、柄を回し振り上げる。 「『滅びぬ悪はない、人間は死ぬのだから』……だったか?」 皇帝は剣を払い明後日の方を向いて、何処か遠いところをみた。 皇帝は勇者を殺した数十年後体調を崩す。 風邪がわずか数日で深刻化し、かつて愛した者の名をもらし、許しを乞うように涙し寝室で独り寂しく死んだのだった。
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