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時間が止まる。
自分の隣にある顔を覗き込んでみると案の定、何かありました、って表情をしている。
「なんだ? 何があったか聞くだけ聞いてやるぞ」
まあ、薄情というかなんというか、自分にはこれくらいのことしかできない。
話してごらん、と母親が優しく問い掛ける感じではなく、さっさと話せ、と急かし強要するような口調になってしまったが、まあ長い付き合いと自分のキャラ的に合わないから仕方ない。
……凄く恥ずかしい思いまでしたのか、と薄暗くなった道でも頬が朱に染まり、耳も同じように熱を帯びている。
ホントに素直で純粋無垢なヤツだ。今日はからかってやってないので少し罪悪感を感じる。
「話したくないなら話さなくてもいいぞ? 話す心の準備が必要なら待ってやる」
「~ッわ、悪い。ホンのちょっと待ってくれ」
話してはくれるようだから待って上げようではないか。
「3分間だけ待ってやる」
某大佐のお言葉を使わせてもらう。「さ、3分?」と何故コイツは焦る。まあ、落ち着くのにそんな時間はかからないだろう。
「さあ、答えを聞こうか?」
幼なじみは覚悟を決めたようだ。視線をはっきりと合わせ真剣な顔つきになる。
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