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そこまで出ていた涙を、ぐっとこらえながら、上を向いて目を開けた。
…大丈夫。
運んでもらった山住の段ボール箱を一つずつ開け、考えるよりも先にっと、自分に言い聞かせながら荷物整理に取りかかった。いくら一人暮らしとはいえ、意外と時間がかかり、気づけば外は薄暗くなっていた。もう夕飯時の時間帯だ。
カタンッ
よし…これで最後…
お隣に挨拶に行かなきゃ…こんな時間に、迷惑じゃなければいいけど…
ガチャッ、バタン
スー…
大きく深呼吸をして、チャイムを押した。
ピンポーン
「はい、はぁ~い♪」
洗い物をしていた母は、その手を止め、チャイムに答えた。パタパタと急ぎ足で玄関へ向かい、扉を開けた。
ガチャッ
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