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ホームレスの男性がいる場所に戻ると人影が見えて、ブレーキをかける。
金色に近いボブヘアーの少年が、花と銀紙に包まれた何かを置いた。
―やめてくれ、明日夢……謝らないでくれ……
悲しそうに言うと、明日夢に手を伸ばす。
「……零」
名前を呼ばれた少年は、自転車を降りて明日夢に近付く。
気配に気付いた明日夢が振り返ると視線を泳がせて目を逸らした。
「……おはようございます、暑いですね」
「もう昼だ」
そう言いながら、零は花の置かれた場所に立つと、ホームレスの男性を見上げた。
明日夢からしてみれば、何処を見ているのだろうと思うほど、不思議な光景なのだ。
「おっさん、探す必要あったのか?」
明日夢は、目を見開くと零が見ている方向を見上げて不安気な表情を見せた。
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