1

4/12
前へ
/187ページ
次へ
ホームレスの男性がいる場所に戻ると人影が見えて、ブレーキをかける。 金色に近いボブヘアーの少年が、花と銀紙に包まれた何かを置いた。 ―やめてくれ、明日夢……謝らないでくれ…… 悲しそうに言うと、明日夢に手を伸ばす。 「……零」 名前を呼ばれた少年は、自転車を降りて明日夢に近付く。 気配に気付いた明日夢が振り返ると視線を泳がせて目を逸らした。 「……おはようございます、暑いですね」 「もう昼だ」 そう言いながら、零は花の置かれた場所に立つと、ホームレスの男性を見上げた。 明日夢からしてみれば、何処を見ているのだろうと思うほど、不思議な光景なのだ。 「おっさん、探す必要あったのか?」 明日夢は、目を見開くと零が見ている方向を見上げて不安気な表情を見せた。
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加