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竹内を見送ったあと、俺も自分の席に戻る事にした。
「よ、貝中。彼女との会話お疲れさん」
椅子に腰を降ろして一息つく間もなく隣の男子生徒が話し掛けてきた。
「ちょい待ち」
「おう」
・・・・・・・・・
「誰が彼女だ」
「お疲れさん」
竹内との邂逅はとても疲れるので次に誰かと関わるのにひと休み入れる必要があったりする。
「いやー、あれだけ仲がよければそろそろ恋心くらい」
「ないから。普通にないから。今の俺を見ろ吉浦。あんだけの会話でこんなにも疲れてる」
これで竹内と恋仲になったら俺は間違いなく過労死する自信がある。精神的な意味で。
「はは、確かに。でも向こうは
どう思ってるかわからんぞ?」
「そんなの俺は知らん」
少なからず好意は感じるが。
「なるほど。なら、今日一緒に登校してきた生徒会長はどうだ?」
「・・・何故お前が今日三国先輩と登校してきた事を知っている?」
俺は登校中こいつと会った記憶はない。
ということは・・・
「知らないよ。でも、一緒に登校してきたんだ?仲いいね」
吉浦の誘導尋問に引っ掛かってしまった訳で。
「・・・偶然会ったからな」
かと言って騒ぎ立ててやる義理もない。
「ふーん?」
何だか食えない友人その3。
吉浦孝典である。
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