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そこからは暫く吉浦と他愛のない会話をして時間を潰していると、担任が教室に入ってきた。
いつも必ず始業のチャイムと同時に入ってくるこの担任が遅れて来たことから推測するに、大方転校生をここまで案内していて遅れたといったところか。
因みにだがこの担任の名前は覚えていない。始業式の時に自己紹介をされた記憶は確かにあるのだが、どうにも人の名前を覚えるのは苦手だ。
このクラスでしっかり名前を覚えているのは竹内由紀と吉浦孝典の二人ぐらいだろう。
何故この二人の名前を覚えているかについては各々で理由を想像して欲しい。
「今日はこのクラスに新しい仲間が一人増える。みんな仲良くしてやってくれ」
やはり、転校生は居た。
途端にクラスがざわめき立つ。
ただ、クラスメイト達の表情に驚きの色が比較的少ない。
俺のように、前もって情報を得たのかもしれないな。しかし・・・
ちらりと隣の吉浦を見やる。
吉浦はにこにこと担任を伺っていた。まるで欲しいものを目前にした子供のように。
・・・こいつよりも転校生の情報を知るクラスメイトが居ないことを祈ろう。
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