1話目

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「やぁ、貝中少年」 高校の最寄り駅付近の駐輪場にて、二台目の自転車に跨ろうとした時落ち着いたソプラノボイスに声を掛けられた。 なので朝の挨拶に相応しく、また親しい友人とばったり出くわした時に取るべきリアクションとして俺は声の方向を見向きもせずにペダルを漕ぎ出・・・ 「おい、何故無視をする?」 ・・・せなかった。 ブレザーの襟をがっしり掴まれホールドされてしまった。 「あ、三国先輩!おはようございます!」 「うん。何事も無かったかのように爽やかな挨拶をしないで貰えるかな?」 「・・・おはよう・・・ございます・・・」 「いや、かといって元気無く挨拶しろとは誰も言っていない」 「おっはー♪♪♪」 「だから可愛くでもなくて君さっき私を無視・・・」 「ならどうすれば良いんですか!!」 「逆ギレ!?いや、もう何でもいい・・・気にするのが馬鹿らしくなってきたよ・・・」 ついには頭を抱えてしまった三国先輩。 これだからこの人をからかうのは辞められない。 や、年上なんだけどね。 リアクションが面白いというか、何というか。
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