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「あ、ねぇねぇ貝中くん!知ってた?」
呼び名が"貝中くん"に戻ってる。一通り"シェル中"で遊んで、飽きたらしい。
「主語を付けろ主語を。何の事だかさっぱりだ」
「転校生!今日このクラスに転校生が来るんだって!」
「へぇ・・・」
この時期に転校生とは珍しい。
・・・転校生に時期も何も無いか。人の環境の変化の時期に決まりなんて無いし。卒業とかそういうの抜きで。
「それより、お前なんでもう知ってんの?」
少なくとも俺は知らなかった訳で。
三国先輩は・・・知ってて敢えて言わなかったのかも。
まだ付き合いはそんなに長くないが、あの人にはそんな節がある気がした。
「やーあのね?バスケ部の美希ちゃんが職員室に用事あって行った時に先生達が話してたのを聞いたらしくて、んでそれをバレー部の麻友ちゃんが教えもらって、んでそれを隣のクラスの麻衣ちゃんが聞いて、それで・・・」
「竹内、もう良いよ」
「え?何で?」
お前に友達がたくさんいる事だけはよーくわかったから。
「貝中くん貝中くん、どうして私を睨むのかな?」
「睨んでなんかいませんよ?」
決してその友達の多さに嫉妬したわけではない。
「むぅ・・・」
竹内のジト目を受け流していると、ちょうど始業のチャイムが鳴った。
「ま、いっか。また後でね貝中くん!」
今までの納得いかなそうな表情は何処へやら、竹内は笑顔でパタパタ手を振ると自分の席へ戻り近くの女子と談笑を始めた。
この切り替えの良さとかも竹内に
友達が多い理由なのかもしれない。
ただ、コミュニケーション力低めの貝中さんとしては彼女の相手はちょっとばかし疲れたりするのは秘密だ。
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