170人が本棚に入れています
本棚に追加
『フッフッフ…こんなこともあろうかと…ジャンジャジャーン!』
昭和の匂いがするような効果音をつけながらユウキが鞄から取り出したのは…
『折り畳み傘!今日、家を出る前に一昨日のお前との会話思い出して、咄嗟に鞄に入れてきたのさっ!』
自慢げに話すユウキに対して「なぜ普通の傘じゃなくて折り畳み傘?」という疑問はあえて聞かないでおく。
「まさかユウキですら傘を持ってきてるのに、私が傘忘れるなんて…はぁ」
溜め息混じりに、どうしようか思案していると、
『入ってけよ?ま、この傘もお前が一昨日雪降るって言ってくれなきゃ無かったからな。それに帰る方向一緒だしな』
「えっ!?…いいの?…あっ、でも折り畳み傘じゃ小さ過ぎるよ?」
『あ゛…。だ、大丈夫だって!何とかなる!』
明らかにうろたえるユウキ。それがおかしくて私は笑ってしまった。
「アハハハハ!絶対大丈夫じゃないよー」
ユウキも釣られて笑う。
『クックック…アーッハッハ!…だよな~。大丈夫なわけねぇな!』
ユウキは半ばヤケクソだった。
『でも、ま、男は一度言ったことは守らねぇとな!男に二言はない!家まで送ってやるよ』
どこの江戸っ子ですか?とツッコミたくなったが、また口喧嘩になりそうなので、私はユウキの言葉に甘えることにした。
最初のコメントを投稿しよう!