2月15日

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『よっ!』 いつも通り、おちゃらけた声が私の背後から聞こえた。 その声の主は同じクラスの斉藤ユウキ。家が近いため、行きの通学路では一緒になることが多い。そのこともあってか、一時期私の周りで二人は付き合ってるんじゃないか、と噂になったことがある。だけど、こいつと恋愛に関する話なんて一度もしたことがない。 『今日もさびぃな~』 自分の肩を抱くようにして大袈裟に震えるユウキ。 「明後日くらいには雪が降るんだってさ」 朝の天気予報の内容をそのまま伝える。 『マジかよ!?グラウンド使えなくなんじゃん!』 野球部の選手にとってグラウンドが使えなくなるというのは2つの面で嫌なものらしい。 1つは実戦的な練習が出来なくなるから。野球というのは広いグラウンドあってこそのスポーツ。打って、走って、守るという、いわゆる『走・攻・守』というのは広いグラウンドで養われていく。そんな大切なグラウンドが使えなければ野球は出来なくなるのだ。 そして、もう1つの理由が… 「大丈夫。雪降ったら地獄の階段ダッシュだから♪」 満面の笑みでユウキに言ってやる。 『……』 そう、走り込みや筋トレといったキツい練習メニューが多くなるからだ。これは基礎体力を鍛える重要な練習だけど、まずこのメニューが好きな部員はいない。 あ、ちなみに彼は野球部のエースで、私はマネージャー。マンガや小説の世界ではよくある関係だけど、気にしないで。
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