170人が本棚に入れています
本棚に追加
『そういえば、もうすぐバレンタインだよな。お前、誰かにチョコあげんの?』
部活の練習中にユウキが突然聞いてきた。
「えっ?…あ、どうしよっかな…」
私が真面目に考えてたら、ユウキは笑いながら、私に言う。
『ま、お前にチョコもらう奴は不幸だよな~』
「なんでよー!」
真面目に考えてる最中に茶化されたので、少々ムカッとした。
『だってお前、料理超下手っぴじゃん☆』
図星。
「うっ…って、あんたがなんでそんなこと知ってんのよ!あんたの前で料理したことなんかないじゃない!」
図星を突かれながらもすぐさま答えの矛盾に気付き、言い返す。
『調理実習でお前の作ったクッキーをつまみ食いしたけど、あまりの不味さに死にかけたからな♪鉄の胃袋を持つ俺じゃなきゃ今ごろ天国にいるぜ?』
そういえば、私が作ったクッキーが目を離した隙に一つ消えたことがあった。どこかに落として転がったんだと思ってたけど、ユウキが食べていたなんて…。あれは私も一口食べたけど、とても食べ物と呼べたものじゃなかったはず。
『一枚食べきるのに5分もかかるクッキーなんて初めてだったぞ』
(え?…あれを食べきったの?)
驚きと戸惑いの表情をする私をその場に残し、
『さっ、練習練習♪』
と言いながら、ユウキはグラウンドへと走って行った。
最初のコメントを投稿しよう!