2月15日

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話は変わるが、うちの学校の野球部は結構強い。いや、強くなったと言った方がいい。 去年の夏の県大会では準優勝をしている。これは創部してから初の快挙だそうだ。創部50年にもかかわらず、今までは3回戦までしかいったことのない弱小校だったから尚更だ。 それは何故かと言えば、いいピッチャーが入ったからだ。 斉藤ユウキ。彼だ。 意外にもプロからスカウトが来るくらいのスゴいピッチャーらしい。なぜそんな優秀なピッチャーがウチの学校なんかに来てるのかって? 理由はただ一つ。 『近いから♪』 『よっ!』 いつも通りの挨拶をして、いつも通り私の隣りを歩く彼がそんなスゴイ奴だとどうしても思えない。 『数学の宿題、やるの忘れちゃったからあとで見せてくんない?一生のお願い!この通り!』 頭の上で手を合わせたありきたりのポーズで頼むユウキ。 「…はいはい」 これで一生のお願いは70回目だけどね…。 絶対ユウキのことをスゴイとは思えないのは私だけ?
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