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「斉藤くん、この式を因数分解して」
数学の畑先生がユウキを指名したが、ユウキはいつも通りのおやすみタイム。
「…ユウキ、当てられてるよ!」
小声で呼び掛けながらユウキの背中をつつく。
後ろの席の私はそんなユウキを起こす係だ。
「…いつも通りグッスリ寝ているようですね~」
畑先生が教科書を筒状に丸めながらユウキの席へと歩いてくる。
スパコーン!!
『ふぁい!…春はあけぼの…えっとー…』
教室、爆笑。
「今は、数学の時間ですよ?」
畑先生は笑顔ながらもその言葉には微かに怒気が混じっている。
『…スンマセン』
これはウチのクラスでは1週間に1回は行われる恒例行事みたいなもので、しかも決まって数学の時間にである。
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