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一樹との出会いは2年前。
その日、通勤で利用していた電車のダイヤが乱れたせいで、大切な会議に遅刻してしまいそうな私は、交差点の信号が点滅から赤に変わっていたのに気付かず飛び出していた。
その時、右折レーンで停車中のダンブの向こうから、一台のバイクが走ってきとも気付かずに。
その時の記憶は曖昧で、断片的にしか無いけれど、事故後に聞いた話では、私を避けきれなかったバイクに跳ねられ、……
頭部を強打した私は、一時意識不明の重体に陥りとても危険な状態にあったものの、奇跡的に命は取り止めた。
事故後、担当医の話では、あれだけの事故にも関わらず、両足の複雑骨折だけで、身体に目立った後遺症が残らなかったのは奇跡としかいえないらしい。
ただ、……命と引き換えに永遠の光を失い、私の世界は暗闇に変わっていた。
事故からだいぶ後になってから、バイクを運転していた男性も、横転したバイクから転がり落ち重傷を負ったと聞いていた。
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