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「大丈夫だよ。明日からいるから」
「え」
私は餃子を口にいれる。お兄ちゃんが作った餃子はお父さんと同じ味で凄く安心する。
やっぱり家の餃子が一番だ。
「望…あんた、まさかリストラ」
「違うよ。会社が倒産したの」
ちょうどラーメンを持ってきた父さんからラーメンを受け取ると私は一年ぶりの実家のラーメンに口をつけた。
やっぱりお父さんのラーメンが一番美味しい。
「はぁぁあ!?」
「倒産って父さんの事じゃないぞ」
「えぇ!?って分かってるから親父!」
私、水原望(みずはら のぞみ)は六年勤めていた会社が倒産しました。
小さな小さな飴細工の会社でした。社長さんも常務さんも皆さん良い人達でした。
「…倒産ってあるんだねぇ」
「そんな他人事みたいに…」
お母さんはため息をついて私を見た。
私は申し訳なくってラーメンを見つめた。
二十四歳の娘がいきなり帰って来たら迷惑なのは分かっていた。けれど、会社の寮も出ないといけないし。
あっちにいた知り合いに迷惑かけるなんてできなかった。
「お帰り。ゆっくりしていきなさい」
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