3/5
前へ
/22ページ
次へ
「大丈夫だよ。明日からいるから」 「え」 私は餃子を口にいれる。お兄ちゃんが作った餃子はお父さんと同じ味で凄く安心する。 やっぱり家の餃子が一番だ。 「望…あんた、まさかリストラ」 「違うよ。会社が倒産したの」 ちょうどラーメンを持ってきた父さんからラーメンを受け取ると私は一年ぶりの実家のラーメンに口をつけた。 やっぱりお父さんのラーメンが一番美味しい。 「はぁぁあ!?」 「倒産って父さんの事じゃないぞ」 「えぇ!?って分かってるから親父!」 私、水原望(みずはら のぞみ)は六年勤めていた会社が倒産しました。 小さな小さな飴細工の会社でした。社長さんも常務さんも皆さん良い人達でした。 「…倒産ってあるんだねぇ」 「そんな他人事みたいに…」 お母さんはため息をついて私を見た。 私は申し訳なくってラーメンを見つめた。 二十四歳の娘がいきなり帰って来たら迷惑なのは分かっていた。けれど、会社の寮も出ないといけないし。 あっちにいた知り合いに迷惑かけるなんてできなかった。 「お帰り。ゆっくりしていきなさい」
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加