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お父さんは優しく笑うと私の頭を撫でた。 「まぁ、しょうがないわね。むしろ望を六年使ってくれた事の方が驚きだわ」 「母さん…望、旨いか?」 「うん」 お兄ちゃんは昔と同じように笑った。私はお兄ちゃんの笑顔が好きだ。 この家族が好きだ。 だから早く、就職先見つけなきゃ。 ※※※※※※※※※※※ 就職先はなかなか見つからず、私は実家の家事を手伝っていた。 お店は私だと面倒をかけてしまうらしい。だから、私は子供の頃から家の手伝いばかりしていた。 「姉ちゃん、久しぶり」 洗い物をしていると弟の明日香が部屋に入ってきた。黒いスーツ姿の彼は私と違って会社に勤めているみたいだ。 「姉ちゃんが帰って来てから家綺麗になった」 「明日香はよく帰ってたの?」 私は明日香にお茶を出すと彼は首を振った。 「いや、あんまり。部屋借りてるし」 「そう…」 そういえば今日平日だけど、明日香休憩中なのかな。 「お茶、店に出してやってくれないかな?」 「え?」 「その…客が来てんだよ」
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