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何故かは聞いたことはないけど、私が住んでいるこの街は雨が多くて梅雨、春雨、秋雨は絶対降る街。だから室内プールなのかもしれない。 バスタオルにくるまっていると桜ちゃんが仕方無さそうに笑った。 「望は息が長く続くんだから、ちゃんと練習したら結構泳げると思うよ?」 「息が長く続くだけだよ」 彼女は一つため息をついてプールに飛び込んだ。しなやかに動く体に綺麗な筋肉は馬みたいだ。 その綺麗な泳ぎに私は毎日みとれる。 私はあんなふうになれないから。 ※※※※※※※※※※※ 部活が終わって私と桜ちゃんは下駄箱まで足を進めた。 桜ちゃんは水泳部のエースだけど普通の女の子だ。 もし、彼と付き合えたら相合い傘をしたい。映画を見たい。手を繋ぎたい。お弁当を一緒に食べたい。 尽きる事のない少女の願いは可愛らしく、時に残酷だ。 私は笑顔で彼女の話を聞きながら綺麗な瞳を見つめる。 彼女の綺麗な体の次に魅力的な瞳。私は彼女が自慢で羨ましい。 そして大切な友達。 「でも、きっと無理」 「え?」 「だって…私、背が高いから」
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