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スパコーンと叩かれた瀧谷は見事にぶはぁという音をたて倒れた。
え?俺そんな強く叩いてないんだけど?
そんなことを思っているとギィと屋上のドアが誰かによって開かれた。
「何をしているのだ?稔に勇一...それに、千宗君?何故ここに?」
長い髪を揺らしながらドアを開いた人物は言った。
てか、この子って
「中川さん?」
そうドアを開いた人物は先ほど俺に保健室を勧めた中川真琴さんだった。
「千宗君、君は保健室に行かなかったんだな。まぁいいが」
「あっ、すいません」
何故か俺はイタズラが見つかった子供のように中川さんに謝ってしまった。
すると彼女は微笑し
「謝ることは無い。大方君は他の人にその目のことを見られたくなかったのだろう?だから人が来ない屋上に来た」
おぉ、なんか何でもお見通しって感じだな。
拍手をしそうになるのをなんとか抑えながら俺は彼女を見た。
「さてと、勇一何故稔はここで倒れているのだ。」
「さぁ?」
即答かよ∑
てか、まだ佐倉弁当食ってるし。
どんだけマイペースだよ!!
ハァと中川さんはため息をし倒れている瀧谷へと視線を戻した。
そして
ゲシッと瀧谷の腹を蹴った。
えぇぇぇぇ!!!蹴ったよ!!この子、ゲシッて蹴ったよ!!てか腹蹴るとか痛そうだなヲイ!
「イタッ!痛いぜ!!マコちゃん!」
「当たり前だ痛くしたんだからな。」
怖っ!
てか
「マコちゃんって...」
はっ!!しまった。心の声が口にでてしまった!!
思わず口を抑えていると、不意に瀧谷の明るい笑い声が響いた。
「あはは!そうだよなこんな一見麗しいお嬢様みたいなやつが男に足蹴りしてしかもマコちゃんって呼ばれていたら驚くよな!!」
あははと言う笑い声は止むことなく響き続けた。
「うるさい」
ゲシッ
「あぅっ!」
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
また蹴ったよこの子!!
驚きが隠せないでいると中川さんは苦笑いをしながら口を開けた。
「すまんな、見苦しい所を見せてしまった。」
そういうと彼女は寂しく笑った。
「そんなことないよ。」
思わず出た言葉に自分でも驚きながら彼女に向かって微笑んだ。
彼女は驚いた顔しそしてさっきの寂しい笑顔ではなく嬉しそうに笑いながら「ありがとう」と呟いた。
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