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「おぉ」と孫策様は嬉々とした声を発し、夏侯惇の両手を取った。
「久しぶりだな、夏侯惇殿」
無視された郭嘉のこめかみに青筋が立っている。夏侯惇は苦笑し、孫策様と郭嘉を交互に見た。
「目」と孫策様が自らの左目を指差し、夏侯惇に訊ねる。
「色々あってな」と夏侯惇は答えた。
「そうか」孫策様が少し寂しげに言う。
「そうだ、あいつはどうしている。6年前、俺と戦った、典韋。元気にしているのか」
やや間があって、「死んだ」と夏侯惇は答えた。
「あいつは死んだよ。主君の盾になり、見事な最後だった」
曹操からの使者3人が揃って涙を流している。典韋の最期、それはとてつもなく壮絶なものであったのだろう。多くを聞かずとも3人の涙がそれを痛いほどに伝えてくる。
「典韋の後任は」夏侯惇が続ける。
「許チョが着いた。あいつは不器用だが、毎日一生懸命に孟徳を護衛している」
「懐かしいな」孫策様が遠くをみるように目を細めた。
「たったの6年なのに、もう遥か昔に思えてくる」
そこで、パンッと柏手(カシワデ)が鳴った。鳴らしたのは荀攸だ。荀攸は端正な顔に笑みを浮かべ、「そろそろ本題に入らせて頂いてもよろしいかな」と言った。
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