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皆の視線が荀攸に集まる。荀攸は咳払いをし、「近年」と切り出した。
「皇帝を宣称し、『成』などという国を勝手に興した袁術の暴挙は誠をもって許しがたきもの。漢王朝としてはこれを放置しておかず、本格的に駆逐する方向性を示しております」
孫策様は上座にある椅子に腰掛けながら、「当然だろうな」と言った。私と陵操は周瑜殿が座っている並びの末席に腰を下ろした。夏侯惇は随分前に元居た椅子に座っている。
「此度」荀攸が続ける。
「袁術討伐軍を大々的に結成し、寿春を包囲する事と相成りました。孫策殿にはその一角を担って頂きたいと思っております」
「引き受けよう」孫策様が明朗な声で答えた。
「断る理由などない」
「ありがとうございます」
と荀攸が座ったまま、頭を深く下げた。
「その若さでここまで広大な領土を有する豪腕、大変に心強うございます」
「荀攸殿よ」郭嘉が左の口端を吊り上げて、言葉を挟んだ。
「もうひとつの伝言を言わねばのう」
「は、はぁ、その、郭嘉殿」
荀攸の表情が曇る。
「お主が言えぬなら、私から言ってやろうか」
郭嘉は言って、孫策様を真っ直ぐ見、「孫策よ」
と指を突き立てた。
「貴様には永く一国を保つ裁量は無い。悪い事は言わん。曹操陣営の1武将として、袁術討伐軍に参加しろ、以上が我が主曹孟徳からの伝言だ」
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