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周瑜殿、小喬、皆、息を飲み、静かに孫策様と大喬を見守っている。夕暮れの心地好い風が優しく吹き抜けた。
「お前と共に暮らすようになって、日に日にお前の心の美しさが俺の目に写った。その度に思った。お前のような最高の女に相応しいのは最高の男でなければいかん、と」
「孫策様……私は……」
「いつかお前に言わせてみせるさ!」
何か言おうとした大喬の言葉を孫策様の快活で暖かい声が包み込んだ。
「婚前祝言の日、俺が丘で叫んだ声よりも大きな声で、孫策を婿にできて私は幸せだ、と心の底からお前に言ってもらえるような、そんな男に俺はなってみせる。だから、今は俺に時間をくれ。お前に相応しい大きな男になって、必ず江東の地に、お前の所に帰ってくる」
「孫策様ぁぁぁ!!」。大喬は孫策様の首に腕を巻き付け、胸に顔を埋めた。大喬をしっかり抱きとめる孫策様の太く逞しい腕。
「本当に、本当に待っていてもよいのですね」
孫策様は力強く頷いた。
「俺は嘘は言わん! 大喬、お前を誰よりも愛している!!」
西に傾く太陽が孫策様と大喬を朱色に染め上げた。
「……孫策様」。大喬は孫策様の腕の中で何度も孫策様の名を呟いた。その表情は安らぎに満ち、幸せに溢れていた。
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