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「若殿。いや……、殿! この王憲、これまで以上に粉骨砕身の気持ちで殿にお仕えさせて頂きます!!」
孫策様は膝を地に着け、私の肩に手をそっと置いた。
「まだまだヤンチャな俺だが宜しく頼むぞ。王憲」
私は顔を上げ、熱々に沸騰した頭を強く縦に振った。
私は若き日々、暗黒の中をさ迷い続けていた。血の匂い充満する暗闇に光を射し、出口を教えてくれた孫堅様。私を陽光の温もりで包み込んでくれた孫策様。
そんな最高の二人を二代続けて主君として仰げる私は中華一の幸せ者ではないだろうか。
領地も兵も無い現状。だからどうした! そんな事は蟻の糞ほどの小さな問題だ。
なんだって出来る。どうにかなる。どんな場所からでも羽ばたける。昇りきった朝陽に照らされた私の主君、孫策伯府の顔を見ていたら、そんな想いが胸イッパイに広がった。
―――第1章。完―――
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