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外観では、とても小さく古びた店だが、中に入ると異常に広く、暗くなった店の奥は、全くみえない。
不思議な雰囲気に満ちた店内だが、ひとつ、はっきりと分かる事がある。
それは、大量の本が棚に並んでいる、という事だ。
本屋なのか、図書館なのかは分からないが、この本をどうにかする店なのは確かであろう。
少年は一度店内をぐるりと見渡すと、ゆっくり本棚に近づいた。
そして、並んでいる本達を見て、眉間にしわを寄せた。
本の題名はどれも、自殺に関するものばかりだ。
当然、中身もだろう。
一番左上の本を棚から取りだし、最初のページを開いた。
『自殺とは』
そう題されたその本の内容は、題名にしっかりと沿っていた。
延々と自殺について書き綴られたその本は、300ページ程。 その全てが、小さな文字で埋め尽くされている。
きれいに整理された文字の羅列を、ただ黙々と読み進める。
その本には、作者も出版社も書いていない。
真っ黒な表紙に白抜きの文字で、題名が書いてあるだけだ。
いかにも怪しいその本を、飽きることなく読みきった。
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