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「……うっ……」
俺は意識を取り戻した。ここはどこだ?
天井にぶら下がったロープで拘束されて動けない。
「――っ!」
頭が痛い。恐らく頭からは血が流れているだろう。
「お目覚めか?穂君」
さっきの男が話してくる。
「……俺の妹は?」
「ああ、それなら安心しろ。解放しといた。所詮お前をを呼ぶために拉致ったんだ。ただ、少々手荒にやらせてもらったが……」
美穂が無事ならそれでいい。
「だが残念ながらお前を殺さなきゃいけねぇ。部下を病院送りにしてもらったんだかな……」
やっぱり死ぬのか……それも運命かな。
「だが、それじゃあ可哀想だ。選択肢を与えてやるよ。一つは、俺達の仲間になる。このまま生きられるぞ。もう一つはこのままナイフで腹を一突き。どっちがいい?」
「悪いがどっちも断る!」
俺は拘束されていない足をその男に絡め抵抗した。
しかし、気付くと俺の視界には大量の赤い液体が飛び散っていた。
「…………かっ……は!」
「残念だが死んでくれ」
あぁ、多分喉をナイフで斬られたんだろう。これは俺の血だな。あぁ、喉が熱い、苦しい、意識が……
こんな中でも思うことは妹の美穂だった。
こいつらはまだ、美穂を狙うだろう。もう……美穂を守れない……俺は……弱い……人間……だっ……た…………。
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