プロローグ

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アラン・バズクードは一度死んだ…… 家族も目の前で殺され、最期に残った記憶は深く暗い闇の中だ。 何もない闇の空間の中で、ただ身体が堕ちていく感覚を味わいながら彼は死んでいった。 気付けばアランは真っ白の空間にいた。ただ、何もないわけではなく、目の前には大きな扉が一つだけあった。 彼は自分が何故ここにいるのかという事が理解出来なかったが、この扉がある事は自分が育った土地、『大都市アスベルト』で読んだ本で知っていた。 本の内容によれば、この扉は死んだ者だけが行きつく事ができる奇跡の扉として崇められていた。 アランは、少しだけ躊躇いながら、扉に触れた。すると、扉から黒い光が放たれ、聞くだけで悍ましい声が聞こえる。 『童よ……、貴様は何を望むんだ?』 アランは初め何を問われているのか分からなかったが、本の情報が本物なら、この扉は何でも願いを叶える奇跡の扉として扱われていたので、それに縋る事にした。
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