恋して悪いかっ！

おっさん、そして。

「で、お前その後どうしたんだ？」

ふーっと、わざと俺に向かってタバコの煙を吹いてくる。

「どう…って？」
「鈍い奴だな、したのかって言ってんだよ。」

また、ふーっと吹いてくる。
煙たさにか、その言葉にか、咳がｹﾎﾘと出た。

「男も女も同じだ。」
「で、でも晃ちゃん…」
「社長。」

社長室でしかも真っ昼間に会話している内容が生々しくて落ち着かない。

ｰｰ持ちかけたのは俺だけど…

結局あの後は俺が逃げてしまって、チビはチビで「しょうがねぇーよ、おっさんノンケだし。」と言う始末で…。

良い雰囲気もぶち壊してしまった。

「お前、何が怖い訳？」

晃ちゃんの言葉に肩が跳ねる。
図星だった。

「好きだから。」

グッと拳に力が入る。

「好きだから、怖い。」

好きだからこそ、怖い。
自分がチビに何をしてしまうのか、とか、チビに俺は重すぎなんじゃないのか、だとか…色々考えて辛い。怖い。

「おい、そんな事か？」
「そんな事って！」
「好き同士なんだろ？」
「うん…」
「じゃぁ、遠慮とかいらねぇーよ。」

ふーっと、吹かれた煙は広がり消えた。その動作が切なく思えたのは俺の勘違いだろうか…。