おっさん、そして。

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「俺は出来ない…」 ポツリと晃ちゃんが言った。 「え?」 聞き返すと苦笑いされて、髪をぐじゃぐじゃにしてきた。 「分かるわけ無いんだから、聞かない事だな。」 ふーっと、吹かれた煙は俺の顔面にかかる。煙で良く見えなかったが、晃ちゃんは切なそうに俺を見ていた。と、思う… 「晃ちゃん…」 何で、そんな顔してんだ? この言葉は出なかった。 「さて、お前は俺の貴重な時間を取った訳だ。その恩返しは勿論するよな?」 ーーおっかねぇ… 笑顔で俺の方を見ている。こうなっては逃げれない…。 「はい…」 言い返せない迫力があって、晃ちゃんには逆らえない理由もある。だから大人しく、仕事をするんだ…。 「大体、乙女かお前は…。」 「しょ、しょーがねぇーだろ!?恋したこと無かったんだよ!!////」 自分でも分かるくらいに体温が上がっている。 恥ずかしくて、顔を反らすと晃ちゃんの大きな手からがっしりと捕まえられた。 「そう言うお前だから、好きだ。」 晃ちゃんが言うと自信がつくのはどうしてだ? 俺はこんなに単純な奴だったか? 少し恥ずかしいそのセリフも、今は心地良かった。
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