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ぎゅっと抱き締めたチビ…いや、ユキトの身体は小さく震えていた。肩に雫を感じながら、ゆっくりと頭を撫でた。
「俺は俺が嫌いで、でも、おっさんには好きになってもらいたくて…」
しゃくり上げながら伝えてくる思いが、俺の中に降り積もる。その雪は少し薄いピンク色だ。
「だから、俺は…惚れたくせに言えなくて……。」
唇が動き、次の言葉を言いそうになる。俺はその動きをそっと止めた。重なりあう唇の微熱が伝わって、その熱にずっと触れていたい。そう思いながらも、少しずつ離した。
「ごめんな?何て言うなよ。俺はお前に言いたくて伝えたくてやっと言ったんだからな。」
ーー言わせた、何て思ってもらうと困る。
ユキトは頷き、また泣いた。
よく泣く奴だな…そう思っていたら、いつの間にか俺も泣いていた。
言い様のない気持ちに胸が張り裂けそうになる。切なくて、愛しくて…。
「おっさん…泣くなよ?」
俺の頭を少し背伸びしてユキトはよしよしと撫でた。瞳が同じ位置になり、互いの顔を見つめ合う。
「ブハッ、ひっでー顔」
「おっさんだって!!!!」
「お前なーさっき自己紹介しただろ?俺の名前は…「カズユキ」」
俺の名前が呼ばれた。それは日常茶飯事の事で、ほんの些細な事で、何気無い事なのに…嬉しくて嬉しくて嬉しくて…元々酷い顔がもっと酷くなってしまう。
「ユキト…俺、嬉しくて死にそう…。」
チビの肩に顔を埋める。そうしていないと、きっと見せれないくらいに真っ赤だ。
「カズユキ…俺も……//////」
ぎゅっと握り返される腕の力に
ーーあぁ、出会えて良かった…。
何て恥ずかしくて言えないけれど、そう思っていたんだよ。
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