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数日後約束は破られた。
先輩には彼女がいた。俺の告白のずっと前からその彼女の事を思っていた。俺ではなく、彼女の事をずっと。
ーー俺は…?
先輩と連絡しようとしても繋がらないし、学校は転校するし、見つけようにも見つからない…。
残ったのはあの日の思い出とか、熱とか、感触…。
ーー結局…遊びだった訳か…。
何時もの景色が暗く見えて、自分がどうでもよくなり、その日の帰り道にナンパされた男とそのまま。
家に帰ったのは夜中だった。
ガチャリと開いたドアに全身の力が無くなる。
その音に安心感と虚しさが込み上げて、玄関で一人泣いた。
朝、自分はゲイだと親に言うと母親は泣き出し父親からは殴られた。
「出ていけ…。」
「…………え?」
「お前何か…息子じゃない。」
震える唇を噛みしめ涙を堪える。
もしかしたら、何て思っていた俺が甘かった。
重たい体に力をいれ玄関で一礼し、俺は家を出た。
泊まる家はその日出会ったその人の家。鼠のように賢く、醜く、それでも死にきれず、生きた。
そうやって生きているうちに、愛する事など忘れていった。
ーーー
ーーーーーーあの日、おっさんに出合うまでは。。
チビ目線、過去END
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