1141人が本棚に入れています
本棚に追加
"玄関でお前を拾った。この家は俺の家だ。 悪いが会社に行ってくる。何も無いがゆっくりしていけばいい"
かろうじて読めるそれは、苦笑物だ。焦っていた事もあるが文の内容がまるでなってない。意味が伝わるか伝わらないかの狭間だ。
ハァァ…
深いため息をしてみる。
ーー仮にも30になったのだからもうちょっと格好がつく内容のものを書けるようになれよな…。
自分に向かってのダメ出しをする。
30になってもダメな事はダメだ。だから自分であってもちゃんと自分に対してダメ出しをする。
くしゃっと握り潰そうとしたその時、細い文字が見えた。
そこにはこう書いてある。
"ありがとう"
なぜか最後の『う』の文字が滲んでいる。何か水滴を落とした後のような……。
最初のコメントを投稿しよう!