おっさん、拾いモノしました。

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「おっさん料理出来るの?」 顔を洗い終わった美青年はまだ雫の垂れるのを厄介そうにタオルで拭き取りそう言ってきた。 その姿に一瞬だけだが目を奪われてしまう。 ーーこいつ、本当に綺麗だよな…。 じっと見つめていたのか、美青年が俺を見て気持ち悪そうに言った。 「な、やっぱりそのヒゲ剃ろうぜ?何かヒゲ鬱陶しい!!」 ヒゲくらいならいくらでも剃る。だが、最近は鏡を見なくなっていた。 と、言うのも一人暮らしに慣れまくったからだ。 ーーほら、一人だと誰も見ないしぃ~ 言い訳はこのくらいだ。 「おっさん、俺がヒゲ剃ってやろうか?」 「一人で出来るんだけど…?」 あまりにも突然の提案に頭が追い付かない。 「俺上手いから!大丈夫、大丈夫!!」 「……人間本当の事は二回言わないってTVで言ってたよ?」 「………。安心しろ!それは幻だ!」 半ば無理矢理キッチンの前にある椅子に追い込まれ座らせられてしまった。 美青年の手にはしっかりと剃刀が収まっている。 ーーはぁ、覚悟を決めよう。 ありもしない覚悟を決めてみる。
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