おっさん、白状します

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~過去~ 家族は俺が物心着いた時には、みんなバラバラで喧嘩ばかりの毎日だった。 「貴方のせいでしょ!?」 「なんだと!!」 耳を塞いでも、塞いでも、この騒音は聞こえてくる。 ぐるんぐるん、ドスン。 ぐるんぐるん、ドスン。 頭が割れるように痛い…。 その内、父親は家に帰らなくなり母はそれを知った上で男を家へと連れ込んだ。週変わりで知らないおじさんがニヤリと笑い俺の前を通っていく。 醜い女の喘ぎ声と、欲望だけの男達…。 一度ばかりか、幾度と無く自殺を試みるが結局は出来なかった。その度に嗚咽混じりに大粒の涙が流れた。 孤独の闇に飲み込まれて、息さえも忘れそうだ。 変わらない毎日。 時間だけが過ぎていった。 そうしている内に母は、年老いていった。
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