おっさん、白状します

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カラン 床に落ちた包丁が乾いた音を出す。 その音が聞こえた後に母も膝から崩れ落ちた。 包丁を拾い上げ、元に戻す。 「こんな事しても、何も変わらないよ。2度としないでよね?か…。」 あと三文字の言葉を飲み込む。 母を残し、その場を去った。 何処に行くのかも分からず、ただ歩く。あの闇に追い付かれないように、逃げるようにして。 『産まなきゃ良かった』 「何で、涙が止まんねぇーんだよ?」 家族は壊れてるって知っていた。母も俺に興味がない事も。最初から愛されてなんていなかった。 それでも、それでも必死に手を伸ばしたんだ。 "愛"に
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