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誰も居なくなった家は静かで、本当に家なのかと疑う程だった。
「とうとう一人ぼっちかよ……。」
あの日から何1つ変わっていない。家の雰囲気、空気、温かさ…。
変わっていないから、それが逆に辛い。俺にとっては最悪の思い出の場所だとしても、忘れる事なんか出来なかったんだ。
ーー家族に捨てられたって、思っていたのに…
「くそっ…くそっくそっくそっ!!!!」
声を上げて泣く。
喉が裂けるかと思う程に。
「………………愛ってつれぇーよ。」
大嫌いだった家族。…そう思いこんでいた。本当は凄く凄く愛していたのに。
ーー捨てていたのは俺の方だ。
涙がこぼれ落ちていく、この一粒が愛だ。
「父さん、母さん、俺は………やっぱり嫌いだよ。嫌いだよ………。……一人に……しないでょ………。」
分かっても、もう遅い。
愛を知ったのに、愛していたのに、
全部消えていった。戻れない、あの日に……。
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