最終章*おっさんとチビ

13/13
1105人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ
「……愛されていたんだな。」 ふと思い出した記憶に微笑みを浮かべた。 父の記憶など人生で思い出す事何て無いものだと思っていた。幸せ何て物は空想。うわべだけのもの。そう思っている一人の男だった。 「何笑ってんのさ?キモ~。」 あの時チビに会っていなければ、そのまま思い続けていただろう。 幸せも、愛することも、知らないままだった。 「思い出したんだ。」 「……。」 「今更気付いていなかった事にな。」 「それって…何?」 "愛することの幸せ。愛される幸せ。" 何て歯が浮くような言葉だろうか。 口にするには勇気が無かった。 せめてもの頑張りは 「その内に言うよ。」 と約束した事かな。 「……ま、いいけどさ。おっさん、気付いてるかわかんねぇけど俺らって同じ漢字なんだ。」 「………?」 「ユキトって漢字は幸せって漢字だ。で、カズユキのユキも幸って漢字何だよ。運命感じるだろ?俺達幸せ者同士…っう…。」 口を塞いだ。 許し難かったからだ。許す訳にはいかない。何故なら、殺されそうなくらいに可愛いからだ。 許してしまったら俺はユキトに殺されるだろう。 「幸せだな。」 唇を離し、そっと見詰めた。 真っ赤に染めた頬のままチビは言ったんだ。 「同じく。」 愛は嫌いだった。 恋なんてしなかった。 ずっと、そんな自分が嫌だった。 嫌っていたのは求めていたからだろうと思う。 孤独で泣く事しかできずに、愛を恨んでいたんだ。 でも、今は幸せを口に出来るまで俺は愛を知ってしまったようだ。今更散々嫌っていたのに、悪くないとまで思っている。本当に悪くない。 寧ろ感謝する。 ーー有り難う。父さん母さん。 「っと、訂正だがおっさんじゃなく、和幸だ。幸人。」 「分かったよ、和幸。」 ーー和幸に産まれた事に感謝してるよ…。 *******名前の由来***完******
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!