6人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「名を何と?」
彼の問いに、彼女は誇らしく答えた。
「紅妖桜。狂い咲きの桜。この世で最も美しい桜」
「いや、君の名だ」
その言葉に、彼女は妖艶に微笑んだ。
「可笑しな人。私の名を訊いた人は初めて」
彼女の口元が、弧を描く。
「私は桜華(オウカ)。別名、死桜姫(シザクラヒメ)」
「死桜姫?君は、どの国の姫だ?」
「妖怪の姫。あるいは…」
桜華は面白おかしそうに笑う。
「紅妖桜の番人」
最初のコメントを投稿しよう!