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「番人?」
彼は桜華に微笑みかけた。本気にしていないのだろうか。
「そう。この桜は、あの世とこの世を繋ぐ道筋。今まで興味本意でこの場所を訪れた者は、番人である私に殺された」
桜華は咲き誇る桜花を、指で優しく撫でた。
「そして紅妖桜を辿り、あの世へ逝くの。素敵でしょう?」
そのまま、横目で艶に彼を見つめた。
対する彼は一歩も動かない。ただ、彼女を見上げて微笑むだけ。
だが、一言ぽつりと呟いた。
「俺は殺さないのか?」
「貴方は面白いからいいわ。それとも…」
桜華は微笑んだまま、不気味に薄く目を開いた。
「殺してほしいの?」
桜華はそう言って、クスクスと笑う。
彼はそれでもなお、笑みを崩さない。
それを見て、桜華はいきなり真顔になった。
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