運命

3/4
前へ
/7ページ
次へ
「―――つまらない」 彼女は不満げに、顔を歪める。 「貴方は恐怖というものを感じないの?私は妖怪の姫。貴方を殺すことなど容易いのよ」 「君は、僕を殺さないだろうよ」 「何故そう思う?」 眉をひそめて尋ねる桜華とは裏腹に、彼は涼しげな顔をしていた。 「君が―――人間の心を持ち合わせているから」 桜華が目を見開いた。図星を指されたのだ。 「妖怪の長が、人間の女子と恋に落ちてできたのが…君だ」 その言葉に、桜華は木を飛び降り、目にも止まらぬ速さで彼のもとにたどり着く。 気付いたときには、桜華の鋭い爪が、彼の喉元に付きつけられていた。 その顔は、まさに鬼に等しいほど憎しみをさらけ出している。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加