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砂埃が舞い、建物が蜃気楼のようにぼやけて見えるような朝だった。
さっきまで殺人事件があったとは思えないほどののどかさである。それほどこの町は、こういうことが当たり前なのである。
二人はメゾーレの町の外れまで来ていた。
そこは空き地になっていて、材木や工具等が乱雑に置かれていた。
その空き地の真ん中にポツンと一つ龍の彫刻が施されたマンホールがあった。
李雷雷はそのマンホールを持っていた銃で一回、二回、三回とコンコン突いた
しばらくすると、マンホールの底からゴンゴンという鉄の音が近づいてきた。そしてマンホールに小さな穴があき、そこには人の目があった。
「合言葉は?」
マンホールからくぐもった声が響く。
「シミに染みたミシン。」
「なんだそりゃ!」
イヴは思わず突っ込みを入れた。
「いいぞ、今空けるから待ってろ。」
「いいのかよ!」
またまたイヴは突っ込みを入れた、と同時にゆっくりとマンホールが開けられた。覗いて見ると鉄の螺旋階段がずっと下まで伸びている。一番下までは光が届かずに見えない。吸い込まれそうな暗闇であった。
「俺の名前はレインだ。あぁ、これコードネームだからよろしく。」
彼は頭にスカーフを巻いて、服はずっと着古してボロボロであった。足は裸足で黒ずんでいる。
レインは挨拶を軽く済ませるとさっさかと先に階段を降りていった。
二人マンホールを閉め、真っ暗闇の中をゆっくりと降りていった…
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