第一章 復讐への誓い

4/4
前へ
/126ページ
次へ
「なんでだよ。なんで……」 頭が上がらない程の恩人を殺された悔しさに視界がぼやけていく。 血が出る程唇を強く噛みながら見上げると、アイズの表情は感情を持たない人形の様に冷たかった。 「なんでばっぢゃんを殺じだんだよ!!」 「……」 強い雨に打たれながら、罵声に近い声で俺は何度も何度も叫ぶ、。 「答えろよアイズ!!シカトしてんじゃねぇよ!!」 枯れるほど声を荒げても、返ってくるのは抑揚の無い声。 「だったらどうする?」 その発言に、頭の中で何かが切れる音がした。 「お前を殺じでやる。ぜっだいに!!」 怒りで顔を歪ませながら睨み付けると、アイズは表情を変えずに言い放った。 「だったらそうしろ。悪いが時間だ」 見上げるアイズの視線の先には、こっちに向かってきている黒い半月状の乗り物が一機。 減速するそれの入り口にアイズは飛び乗って去っていった。 俺は手足を広げながら屋根に仰向けになり、瞼を閉じると声が聞こえてくる。 『ソレデイイダナ?俺ノ能力ハ使ウ度二魂ヲ蝕ムゾ』 ……悪鬼羅刹か。能力に人格があるなんて今でも信じらんないけど、俺は構わねぇ。 例え悪魔に魂を売ってでも、必ずアイズを殺してやる。 『フッ。楽シミニシテルゾ。オ前ノ復讐』 瞼を開くと、灰色の雲が強い雨を降らせていた。
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加