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八年前、流行の病で両親を亡くして俺は孤児院に来た。
両親を亡くしたショックで荒れていた俺をばっちゃんは何時も励ましてくれた。
荒れてた頃の記憶を細部まで鮮明に思い出すと、俺は目を瞑った。
『自分の運命を呪ってはいかん。世の中には戦争で両親を失った子供もおるんじゃ』
グラウンドの片隅で泣く俺に、目線を合わせるように腰を下ろすばっちゃんに俺は奴当たりするやうに声を荒げた。
『うるさいんだよ!!ババア!!』
だけど、ばっちゃんは決して怒らず、何時も励ましてくれた。
『少しずつで良い。前を見るんじゃ』
『話しかけてくんな!!』
俺がどんなに酷い事を言っても、ばっちゃんは優しかった。
それなのに、何で……。
ミイラの様に干からびたばっちゃんを思い出し、虚しさと怒りが沸々と湧いてきた。
「アイズめ……」
すると突然、小さな部屋にチャイムが響き渡り、俺は眉を寄せる。
「……こんな朝早くに誰だ?」
フローリングの床を渡って玄関を開けると、廊下には二人の男が立っていた。
「え……?」
俺はその二人の纏っていた物に目を見開いた。
同時に、心臓がドクンッと大きく脈を打つ。
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