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「どうした?」
ぴくっ、
突然背後から聞こえた声に驚き体がぴくりと固まってしまった。途端に涙も引っ込む。
え、誰か来て欲しいとは思ったけどこんなに速く来るとは思わなかったや。こんなに近くにいると知ってたらあんなに大声で泣かなかったよ。
恥ずかしすぎる!!
黒髪で僕より身長がずっと高い爽やかなイケメンだ。僕的に、バスケ部だと見た。
「どうした?そんなに…」
最後まで言わないで、メガネの奥の瞳を覗き込まれる。うっ、目がきらきらだな…!
「何で泣いてたんだ?…見たこと無い顔だけど…何組?」
「その…ぼ、僕は今日転入してきたんです…そ、それで…っ!」
思い出すとまだ泣ける!あんなに歩いた僕の努力。もう泣きながら目の前の人に説明したから支離滅裂だけど、この爽やかなイケメンはうん、と相槌を打って呆れる事は無かった。ほんと、優しい人だな。
「なるほど、大変だったね。俺の名前は洋。ヨウって呼んでくれ、タメだしさ。名前は?」
「はな、宝生琶奈」
自己紹介すると、洋はにこっ、と笑い僕の身長に合わせるように腰を折ってじゃ、行こうか。って手を握ったんだ。 優しくて暖かい…
なんかお兄ちゃんみたい…
洋「こっちだよ、理事長室」
手を引かれながらあの変態兄貴とこの人が入れ替わってくれたらいいのに。と遠い目をした。
こんなお兄ちゃんがよかったな。
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