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「…まあ…とりあえず入れ。」
「あ…、はい…。」
ドアを閉めて、彼の方に向き直る。
「……お前。
今日の朝礼聞いてなかったか?
いつもより広い会議室使っただろ?」
…そういえば今日の朝礼は少し大きい会議室を使った。
なぜ会議室なのかわからないまま、ぼーっと過ごしていたためか、朝礼の内容がひとつも思い出せない。
そのうえ、人もいつもより倍以上に多かった。
「……すいません。朝礼のときの話、ちゃんと聞いていませんでした…。」
怒鳴られるの覚悟で謝る。
すると彼はふっと軽く笑い、今日の朝礼を繰り返すように、
「今日から企画部の部長になった槝山悠也だ。
ここに来る前はアメリカにいた。
まだ至らないところがあるが、よろしく。」
よろしく、と同時に部長はニコと微笑む。
うわ…っ、笑顔やばいって…
顔が赤くなるのを一生懸命押さえながら私も自己紹介をする。
「……私は児嶋優希です。
よろしくお願いします……。」
「ああ。よろしく。
……それよりもお前、素直に謝るんだな。
問題児と聞いていたから、てっきりしらばっくれて謝りもしない非常識なやつかと思った。」
失礼な…。
私だって立派な大人ですっ!非常識、なんていう言葉に私はむっとする。
私は少し俯きながら強めに、
「ミスはいっぱいしますけど…ちゃんと常識ぐらいはあります。」
「ハハッ…まあ、会社側としては、常識がある程度しっかりしていなくても仕事ができればそれでいいんだけどなぁ。」
「……だから、自分的には精一杯頑張ってるつもりです…。」
「当たり前だ。頑張ってもらわなきゃ困る。」
………なんか…、この部長キライ…。
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