18/22
前へ
/267ページ
次へ
――こけし? 球体に円柱がくっついたソレは、一見するとこけしのような形をしています。 しかし、全体的に赤黒く、球体に彫られた顔は鬼のような形相をしていました。 邪気というのか、周りの空気が先程より重苦しく感じ、見ているだけで気持ちが悪くなってきました。 とてもじゃないけれど、祝いの品とは思えない。 義母は不気味で不可解なソレを箱から取り出し、七海の目の前で見せました。 「これは『たかなし人形』って言ってね、代々、小太刀家に伝わる歴史ある人形なのよ?」 「たかなしにんぎょ~?」 「そう。たかなし人形」 全身を赤みのある黒色でまだらに塗られたソレは、たかなし人形と言うそうです。 小太刀の家に伝わる人形があるなんて、その時に初めて聞きました。 「小太刀家の長男に最初の娘が産まれ、2度目の七五三を迎える前に渡す決まりになっているの」 先祖代々続けられている風習らしく、次の世代へ引き継ぐまで私と夫の拓也で、その人形を守らないといけないんだと義母は話を続けます。
/267ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32745人が本棚に入れています
本棚に追加